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入居準備・入居開始に向けて
 事前のチェックや見学を重ねて、ご家族に合った有料老人ホームを見つけることができれば、いよいよ契約・入居準備です。有料老人ホームへの入居は、ゴールではなく新しい生活の始まりですから、この入居準備から入居後、ホームの生活になれるまでの3ヶ月程度は、非常に重要な期間です。有意義で豊かな有料老人ホームでの生活を送るためには、契約その他事務的な準備、引越しの準備、そして何よりも大切な心の準備を行わなければなりません。
 ここでは、有料老人ホームの入居にあたって、必要な準備のポイントについて、解説します。
※付録
体験入居を行う
 気に入った有料老人ホームが見つかれば、いよいよ入居への準備です。すぐに契約して入居開始と思われている方も多いのですが、実際のサービスを確認してもらうために、多くの有料老人ホームでは体験入居を実施しています。どの程度の期間、体験入居できるかは、その有料老人ホームによって違いますが、1週間程度の体験入居ができれば、サービス内容だけでなく、入居後の生活のイメージを確認できると思います。料金設定も有料老人ホームによって違いますが、食事も含めて一日10,000円程度です。
体験入居は、サービス内容やその生活に適応ができるかを、入居される方がご自身で確認することになるのですが、入居者が要介護状態でご本人だけでは十分にチェックが難しいと思われる場合には、期間中はご家族も老人ホームに何度も訪れ、一緒に確認されることをお奨めします。
要介護状態の入居者が体験入居される場合の、ポイントを挙げておきます。
要介護状態の入居者が体験入居される場合の、ポイントを挙げておきます。


食事やサービスを確認する
 基本的に、一日3食とも、有料老人ホームから出された食事を食べることになります。食事が美味しくないと、老人ホームの生活の楽しみは半減してしまいますので、食事内容や味付けがご本人の口に合うかは重要なポイントです。また、見学時と同じように、スタッフの態度や言葉づかい、老人ホームの全体の雰囲気を確認すると共に、毎日同じ服を着ていないか、下着などの洗濯はされているか等、実際に行われているサービス内容もチェックしましょう。

部屋に閉じこもらない
 せっかくの体験入居ですから、居室に閉じこもらずに、できるだけリビングや食堂などの出て、他の入居者とお話ししたり、ホームで行われるイベントなどにも参加しましょう。無理に話し掛けようと気負わなくても、リビングで本やTVを見ていると、スタッフや入居者から話し掛けてくれるはずです。そこで生活されている入居者からは、ホームでの生活について入居者の視点から話を聞くことができますし、介護スタッフがどのように介護を行っているのかを確認することができます。

建物・設備を確認する
 これから長期間その有料老人ホームで生活すると考えて、電気スイッチの位置や高さ、手すりの向きや高さ、トイレの手すりの位置や高さ等、居室内の設備は入居者の生活レベルに合っているかチェックしましょう。また、手すりの高さや位置などが合わない場合は、変更してもらえるのか、別途費用はかかるのかも、合わせて確認しましょう。その他、ホーム内をできるだけ廻り、エレベーターの使いやすさや、リビングまでの距離など、ホーム内の設備や備品も実際に触って確かめましょう。

ケアプランを確認しよう
 対象者に介護サービスが必要な場合は、短期間であっても、入居者に対するケアプラン(介護計画)と、そのプランに対する実績表(実際にどのような介護を行ったか)が作成されます。これを見ると入居者に対してどのような介護サービスが提供されるかがわかります。ケアプランが個々の入居者の生活レベルに合わせて計画されているかや、その計画に合わせて実際に介護サービスが提供されているのかを確認する必要があります。介護サービスがどのように提供されるかは、有料老人ホームの質を計る大きな要素ですから、しっかりチェックしましょう

疑問は全て解決する
 体験入居の最後にアンケートや面談の時間が取られると思いますが、細かなことでもメモにとっておき、見学や体験入居の際に感じた疑問や、問題点、不満な点は、すべて老人ホームの担当者に伝えましょう。また、体験入居の初めの段階で気が付いたことは、その場で伝え、それがどのように改善されるのかをチェックしても良いでしょう。疑問を持ったまま入居すると後で必ず後悔することになりますので、気がついたことは全て伝えることが大切です。


有料老人ホームへの入居は、ご本人にとっては知らないところで生活するわけですから、他の入居者と上手くやっていけるか等の多くの不安が付きまといます。中には、『本当はまだ迷っているけれど、家族が言うので仕方なく体験入居だけ・・』という方もおられるはずです。体験入居は、サービスの最終確認だけでなく、入居者の安心のためにも、入居を決断するためにも非常に重要な経験です。不安を取り除くためにも、ご家族でしっかりサポートしてください。

また、体験入居にあたっては、健康診断書の提出を求めるところもありますので、事前に老人ホームに確認してください。


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本人の意思確認・家族との連携
有料老人ホームの見学や体験入居が終わり、いよいよ契約をするか決めることになりますが、ここでもう一度確認しておきたいことがあります。それはご本人の意思と、ご家族の連携・役割です。

ご本人の意思確認
 ほとんどの有料老人ホームでは、入居者が安心して生活できるように努力しており、高齢者が豊かな生活されるための十分な環境を整えています。しかし、そうであっても本人の意思に反して、嫌々有料老人ホームに入居されるのであれば、楽しく豊かな生活が送れるとは思えません。実際に、せっかく入居されても、入居後1ヶ月程度で退居する方もおられますし、体調を崩されたり、無気力となり認知症になる方もおられます。

 有料老人ホームで、ご本人が安心して幸せな老後の生活を満喫できるためには、ご本人が納得されて入居することが不可欠です。そのサポートはご家族にしかできませんので、ご本人が安心して有料老人ホームに入居できるよう、その意思を尊重し確認することが必要です。

ご家族間の連携・役割確認
 入居後の家族間での役割や連携についても、もう一度確認する必要があります。有料老人ホームで生活されるようになっても金銭的な問題などご家族にしか対応できないことも多くありますし、要介護状態が重度になりご本人の意思が不明瞭な場合は、細かなことでもご家族に相談することになります。

有料老人ホームサイドで最も困ることは、息子さんや娘さんが大勢おられて、それぞれに意見が違うということです。ですから有料老人ホームとしては、基本的に身元保証人に対して相談や連絡を行います。身元引受人は、入居者の支払債務等に連帯して責任を負うことになりますし、退居される場合、本人や所持品の引き受け人としての義務を負います。有料老人ホーム入居契約において、一般的には2名の身元保証人が必要になりますので、事前に話し合って決めておく必要があります。

また、特に金銭的な問題については、後々ご家族の間でトラブルになりやすい問題です。月々の支払が不足する場合は誰が負担するのか、年金の口座や定期預金などの資産は誰が管理するのか等、事前にご家族の間で話し合っておきましょう。

その他、老人ホームへの訪問や、外出しての食事、家族宅でのお泊りなどについても、話をしておかれることをお奨めします。『時間があるときに、それぞれできるだけ』と言っていても、ご家族毎に事情や生活があるわけですから、他の家族が行っているだろうと考え『気が付くと3ヶ月間だれも訪問していない』ということにもなりかねません。どんなに有料老人ホームの生活が快適なものであっても、ご家族の訪問は入居されている方にとって非常に嬉しいものです。特に生活に慣れるまでの最初の3ヶ月程度は、不安も大きいですから、できるだけご家族で話し合って、きめ細かに訪問したり、外出して食事されると、ご本人も精神的に安定し、有料老人ホームでの生活により早くとけこむことができます。

しかし、残念ながら、家族間での連携が上手くいっていないというケースもたくさんあります。ご両親の介護問題や金銭的な問題で、感情的な対立からご兄弟間で絶縁状態になっているということも珍しいことではありません。有料老人ホームがご家族の問題やご兄弟間のトラブルに立ち入ることはありませんが、大きなトラブルを回避するためにも、入居者の生活に直接関わるような問題については、入居にあたって内情を話して、理解を得ておく必要があると思います。

また、ご本人がどうしても納得されない場合は、ゆっくりと考える時間を置くことも大切です。どうしても感情的になりやすい問題ですが、良かれと思っていても『勝手にすればいい』と対立してしまえば先に進まなくなります。ご本人もこのままではいけないと頭ではわかっておられる場合が多いので、性急に事を運ばず、『家族はあなた(入居予定者)のことを真剣に考えている』ということを、じっくりと伝えることが必要です。


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契約・引越し準備
 いよいよ有料老人ホームとの契約、そして入居への準備を始めます。ここでは、契約して入居が決まってから、準備しなければならないこと、考えなければならないことについて、項目を分けて解説します。

契約
 有料老人ホームとの契約には、入居者の署名以外に、基本的に2人の身元保証人が必要です。この身元引受人は、名前だけのものではなく、入居者の支払債務等に連帯して責任を負い、退居される場合には本人の備品等の引受人としての義務を負います。その役割は大きなものですから、事前に契約書類を熟読すると共に、契約時には必ず立会い、もう一度契約内容を十分に聞いて署名をしてください。また、入居時までに提出しなければならない書類や、入居一時金の支払の方法、月額費用の支払方法、外出時や外泊時の連絡等、入居後の事務手続き等が説明されますから、合わせてしっかりと確認してください。

入居日の決定
 有料老人ホームの入居日は、実際に運営が始まっている有料老人ホームの場合は、ある程度融通が利くのですが、新設のホームの場合は、多くの方が一度に入居されますので、ホーム側から指定されることが多いようです。入所に付き添われる方の予定や、現在病院や老人保健施設に入院・入所されている方は、その退院の調整も必要となります。ご自分で希望された入居でも、最初の日はやはり不安もありますので、ご家族もできるだけ予定を合わせてサポートしていただきたいと思います。

行政等の手続き
 行政等の手続きで考えなければならないものとして、『住民票の変更手続き・年金の手続き・健康保険の手続き』があります。介護保険の保険者は市町村ですから、特に市町村を超えて有料老人ホーム入居される場合は注意が必要ですし、月額費用の支払方法や口座引落になる場合は、金融機関で新しい口座を作ったり、年金の受取口座の変更が必要になるかもしれません。これは、入居者や家族の状況によって違ってきますので、他の入居者はどのようにされているのかを参考にされると良いでしょう。ただし、それぞれに担当の役所が違いますので、手続きには時間がかかります。事前に確認しておかれることをお薦めします

引越しの準備
 有料老人ホームの引越しにあたって、予想以上に大変な作業は『何を持っていくか』を決めることです。当然有料老人ホームの居室のスペースは限られていますので、これまで生活されていた生活用具をそのまま持っていくことはできません。入居者のお話を聞くとその整理をするのに、大変ご苦労されている方が多いようです。
実際に持っていくものは着替えなどの生活必需品が中心になりますが、生活小物はできるだけこれまでの生活で使い慣れたものを持っていくことをお奨めします。使いやすいようにと、有料老人ホームのスペースに合った箪笥やベッドなどを新しく買い換える人もいますが、使い慣れたもの以上に便利なものはありませんし、そこにはたくさんの思い出が刻まれており、入居される方が安心して生活することができます。持っていく物の選定にあたっては、ご本人の意思をできるだけ尊重することが必要です。

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入居後の家族の役割
契約が終了し、有料老人ホームへの引越しが終わりました。ここまでのステップをクリアすれば、ご本人もご家族も『自分で満足できる有料老人ホームが選べた』と一安心されていることと思います。ただ、入居は新しい生活へのスタートであって、ゴールではありません。本当に安心できる豊かな生活を送るのはこれからです。入居後の、有料老人ホームとのかかわり方のポイントについて解説します。

最初の3ヶ月が重要
有料老人ホームでの生活は、これまでの生活と大きく違うことや、他の入居者との人間関係など、気を使うことも多く、本人が自覚されていなくても、食欲不振となったり体調を崩される方や、残念ながら有料老人ホームの生活に合わないからと退居される方もおられます。

この期間は有料老人ホームサイドでも注意して、なるべく早く生活に溶け込まれるように配慮していますが、新しい生活に慣れるまで、ご家族もできるだけ訪問し、外出して一緒に食事をしたりするなどのサポートが必要です。

『ホームの生活に慣れるまでなるべく訪問しない』という方もおられますが、それは大きな間違いです。『家族がいつも心配してくれる』『家族がいつもそばにいてくれる』という気持ちが、入居者を安心させ、老人ホームでの新しい生活を支えるのです。最初の頃は、不安を口にされるかもしれませんが、生活にリズムができ、新しい友人や生きがいが見つかれば、ホームでの生活が安定してきます。最初の3ヶ月が重要なのです。

老人ホームとの連携
入居後は、有料老人ホームと信頼関係を築いていくことが重要ですが、それは、ホーム側に全て任せきりにするということではありません。特に入居者に介護が必要な場合は、その入居者のケアプラン(介護計画)が策定され、それに従って介護が進められることになりますので、そのプラン策定や変更については、しっかりご家族の意見や希望を述べることが必要です。また、訪問時には、スタッフに本人の現在の状況や変化を確認したり、しばらく訪問できていない場合は、電話で状況を確認することも大切です。基本的には状況に変化があれば、ホーム側から連絡が入りますが、ご家族からも友好な関係を築くためにも、普段から積極的に連携をとっておくことが必要です。

クレームになる前に意見を言おう
 どんなに細心の注意を払って有料老人ホームを選んでも、また、そのホームを信頼していても、必ず問題や疑問点はでてきます。多くの家族は、『一生懸命やってくれているのに文句を言えば悪い』『本人が後で嫌な思いをするのではないか』と躊躇され、胸にしまい込んでしまわれる方が多いのですが、有料老人ホームは、集団生活で一律のサービスを全入居者に提供している訳ではなく、個人の生活をサポートしているのですから、疑問や問題点は出てきて当然なのです。

 例えば、『居室の掃除が行き届いていないのでは?』と感じられたとしましょう。入居者によっては、キチンと隅々まで掃除してほしい人と、あまり細かいところまでふれて欲しくない人、勝手に触られるのを嫌う人もおられます。そこまで契約や入居時に決めることはできませんし、どうして欲しいかは、その時の状況や気分によっても変わってきます。 

好みや考え方は人によって違いますから、その入居者に最適のサービスを提供するには、小さなことでもご本人やご家族から意見を言ってもらえないとわからないのです。良いサービス、良い有料老人ホームを作っていくためには、ご家族の意見が一番大切です。感情的なクレームになる前に、しっかりと意見を伝えましょう


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