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選択から入居までの流れ:有料老人ホームを比較・検討する

有料老人ホームを比較・検討する
対象となるいくつかの有料老人ホームが出てくると、すぐに見学に出かけたいところですが、事前に資料からわかる価格やサービス内容を、できるだけ比較検討しておくことが必要になります。
『百聞は一見にしかず』と言いますが、逆に有料老人ホーム選びは、ほとんどの方が始めての経験ですので、見学だけに頼ると説明者の美辞麗句や建物の豪華さだけに目が行ってしまい、その内容まで踏み込んで確認することができなくなる可能性があります。ですから、事前に見学で有料老人ホームの方に聞くべきことをチェックしておくことや、何を見なければならないかを確認するということは、有意義な見学をするためにも不可欠なのです。
有料老人ホームは、サービス内容や価格にも大きな差があると共に、急激に伸びてきた事業でもありますので、優良な事業所だけではなく、トラブルが多発しているところや経営が悪化しているホームもあります。後でトラブルに巻き込まれ、『こんなはずではなかった』と泣かずに良いように、しっかりチェックすることが必要です。
ここでは、有料老人ホーム選定においてのチェックポイントや、見学を行う前に確認をしておくべきチェックポイントについて解説します。選択される際の確認事項や、どういった点に注意しなければならないかを説明してありますので、ご家族に合った有料老人ホーム選びに、ご活用いただければと思います。
※付録
家賃・入居一時金をチェック

入居一時金は、入居金、入会金など老人ホームによって様々な名称があるようですが、これは住宅サービス部分の費用に充てられるものです。多くの有料老人ホームは、この『入居一時金方式』を取っているようですが、最近は、入居時に多額の一時金を取らずに、賃貸住宅と同じように家賃を月額で徴収する『月ぎめ家賃方式』の老人ホームもありますし、一時金を抑えて家賃を併用している『併用方式』や入居者が自分でどちらかの方式を選択できる『選択方式』のところもあるようです。

この入居一時金の意味については有料老人ホームによって違いますが、一般的には居室及び共用部分の家賃の前払いと、その終身利用権という2つの性格を有しているホームが多いようです。ですから、老人ホームの定めた一定期間(償却期間)で償却され、この償却期間内で、お亡くなりになる等退居された場合は、家賃を先払いしているという性格上、その一部が返還金として戻ってくるところが一般的です。また、終身利用権という性格も有している場合には、償却期間を超えて入居されていても、追加の一時金や家賃を支払う必要はありません(この内容についてはホームに確認が必要です)。

一般的な有料老人ホームの入居一時金と、償却期間内の途中で退居された場合の、未償却部分の返還金の計算についての事例を挙げると以下のようになります。

返還金の計算方法(参考)
返還額=(入居一時金−償却部分)×(償却期間−居住期間)/償却期間
入居一時金 800万円 初期償却金 一時金の15%
償却期間 6年(72ヶ月) 入居期間 18ヶ月

返還額=(800万円−120万円)×(72ヶ月−18ヶ月)/72ヶ月=510万円

入居一時金の金額だけではなく、償却期間は何年なのか、入居期間や償却期間は年単位か月単位で計算するのか、また初期償却金の割合も、全て有料老人ホームによって違います。例えば健康な高齢者を対象とした有料老人ホームでは、償却期間は15年程度のものが多いのですが、逆に最近の要介護高齢者を対象としたホームでは、入居される高齢者の年齢も高く平均入居期間が短いために、5〜7年と償却期間は短くなっています。

また、初期償却金は、一般的には10%〜20%程度のところが多いようですが、これは1ヵ月等の短期の入居でも返還されませんので、この割合が過大なものでないか確認する必要があります。また、計算方法も定率でなく初年度に大きく償却されるような計算をしているホームもあります。ですから、特に入居数ヶ月で亡くなられてしまった場合や、有料老人ホームでの生活に馴染めず短期間で退居されるような場合に、この返還金を巡ってトラブルが起こっているようです。しかし、これは契約事項で事前にわかることですから、必ず確認しておくべき事柄です。これについては、事前に、入居される方の年齢や身体状況等を考えながら、『3年入居すれば・・』『5年入居すれば・・』『半年の場合は・・・』とシミュレーションされると良いでしょう。

 また、この返還金の保全措置がしっかりなされているかも重要なポイントです。返還金は通常の経営とは関係のないお金で、入居者に返還する必要のあるいわば預り金ですから、有料老人ホームでは、返還の可能性がある入居一時金の未償却部分については、何らかの保全措置を取っていなければなりません。しかし、中にはこれを建設資金の返済に充てている有料老人ホームや、運営資金として使っているホームもあるようです。しかし、それでは、経営が悪化しホームが倒産した場合、入居者に返還されるべきお金が既に使われていまい、戻ってこないということも考えられます。
この返還金について、平成18年4月以降に開設されるホームについては、500万円を上限に保全義務が課せられました。しかし、保全の有無は経営体質を見る上でも非常に重要なことですから、新しいホームだけでなく保全義務のない現在経営中のホームでも、保全金額やその方法についても必ず確認することが必要です。


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介護体制・介護費用をチェック

 有料老人ホームに求めるサービスは、人によって様々ですが、高齢者は加齢により身体状況が悪化し、日常の生活を送る上で何らかの介護などのサポートが必要となることから、有料老人ホーム選定において。介護サービスの提供は非常に重要な要素です。

有料老人ホームと介護サービスとの関係については、有料老人ホームの基礎知識(有料老人ホームと介護サービス)の中で述べていますが、重要なことは、しっかり個人の状態やニーズに合わせたケアプラン(介護計画)が策定されるのかということです。そのためには、介護付・住宅型のいずれにしても、その有料老人ホームに入居した場合に受けられる介護サービスの量や質、内容について確認しなければなりません。
また、介護に係る費用は不透明ではないかも、チェックする必要があります。介護保険制度以前からの有料老人ホームでは、入居時に介護一時金を徴収しているところもあります。これについては、介護保険法の介護報酬とかさなる部分も多いとして行政からも厳しく指導されるようになっていますが、介護一時金が必要な場合には、その算定根拠を求める必要があります。

その他、夜間や緊急時にどのように対応してもらえるのかも確認しておく必要があります。例えば緊急に病院に搬送しなければならない時に、病院まで付き添ってもらえるのかや、夜間のスタッフ体制等も確認しておく必要があります。有料老人ホームの夜間のスタッフ体制が1名のところもありますが、何か問題が発生した場合、それでは非常に心配です。また、健康型や住宅型の場合は、介護スタッフが常駐していませんから、有料老人ホーム内でどこまで対応できるのか、緊急時の提携サービスとの連携等についてもチェックが必要です。

有料老人ホームの類型ごとの、介護体制のポイントは以下の通りです。

【類型別のチェック事項】

1.健康型有料老人ホーム
健康型有料老人ホームは、そのホーム内で介護を受けることができず介護が必要になれば退居が求められるものですが、高齢者は要介護状態になりますから、この健康型だけの単独の有料老人ホームでは安心して生活できません。ですから、多くの健康型有料老人ホームでは、介護付有料老人ホームを併設していたり、提携しているところが多いようです。ただし、『提携ホームがあるので安心です』と言うだけでなく、将来的に介護付有料老人ホームに移転するにあたってどの程度の費用が必要となるのか、その介護付有料老人ホームは優良なサービスを提供しているのか等、その提携内容やサービス内容にも言及することが必要です。

2.住宅型有料老人ホーム
住宅型有料老人ホームは、有料老人ホームとして介護サービス提供を行うものではなく、外部の訪問介護・訪問看護等の事業所が介護サービスを提供するものです。その有料老人ホームの系列の訪問介護サービスを中心にサービス提供を行っているところが多いようですが、中には系列のサービスしか使えなかったり、ひどいところでは、実際には、訪問介護サービスしか利用できないところもあるようです。法的には外部のどのサービスでも利用できるのですが、実際に訪問看護・通所介護等の多種のサービスが利用されているのかが重要です。また、24時間、十分な介護スタッフが常駐しているわけではありませんので、失禁・転倒などの臨時対応や、夜間等の緊急時のサポート体制も確認する必要があります。

3.一般型介護付有料老人ホーム
一般型介護付有料老人ホームは、介護保険法上の一般型特定入所者生活介護を取得して、介護・看護スタッフを雇用し、有料老人ホームで介護サービスを提供するものです。この特定施設入所者生活介護の基準は、入居者3名に対し介護スタッフ1名という『3:1』の基準ですから、ここまでは介護保険を使って、介護費用はその要介護度別の一割負担となります。ただし、多くの有料老人ホームでは、手厚い介護を行うために、『2:1』『1.5:1』等とスタッフの基準を増やしており、その手厚さに応じて上乗せ介護費用が必要となります。『24時間365日安心ですよ』『心をこめて介護します』と言っても、その安心度や受けられる介護の手厚さは、大きく違うのです。
また、一般型介護付有料老人ホームでは、どのように介護を受けるかという介護方法も重要です。これまで福祉施設である特別養護老人ホームでは、少ないケアスタッフの人数が足りないために、集団の介護スタッフで集団の入所者に介護を提供するという集団介護の手法をとってきました。時間を決めての一斉トイレ介助、流れ作業の入浴介助など、起床から就寝まで、食事、入浴、レクリエーションと、ホームの決めた日課に沿って、集団的に行動して介護を受けるというケア方法がとられてきたのです。しかし、このような方法では、個別のニーズはほとんど埋没し、個々の生活環境や個々の生活スタイルから全く切り離され、集団生活を余儀なくされてしまいます。
現在は、個々の入居者に合わせた、小さなユニット単位でのケアや、個別ケアの必要性が叫ばれており、手厚い介護システムを採っている有料老人ホームでは、ユニットケア・個別ケアを行っているところが増えてきています。入浴やトイレの介助が個人の生活リズムに合わせて行われるかは、要介護の入居者にとって重要なポイントです。

4.外部サービス利用型介護付有料老人ホーム
外部サービス利用型介護付有料老人ホームは、平成18年4月の報酬改定で新しく創設されたもので、外部サービス利用型特定施設入居者生活介護の指定を受けて、介護サービスを提供するものです。介護サービス計画の策定や安否確認等の基本サービスは、ホームのスタッフが行い、日常の食事介助・入浴介助等については、ホームが訪問介護、訪問看護、通所介護等の外部サービス事業所と契約を行い、入居者はホームが契約した事業所から介護サービスを受けるというものです。
 この外部サービス利用型有料老人ホームの場合、実際の個別の介護サービスは、有料老人ホームが契約した外部サービス事業所から受けることになりますから、入居者が希望する外部サービス事業所と契約しているのかを確認することが必要です。また、住宅型有料老人ホームと同様に、失禁・転倒などの臨時対応や、夜間等の緊急時のサポート体制も確認する必要があります。

受託外部介護サービス一覧(赤字必須)
 (1)訪問系サービス・・・・・訪問介護訪訪問看護・訪問リハビリ・訪問入浴
 (2)通所系サービス・・・・・訪通所介護・通所リハビリ・認知症対応型通所介護
 (3)その他サービス・・・・・福祉用具貸与

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医療サービス・医療連携をチェック

 有料老人ホームは医療機関ではありませんから、基本的には医療を提供する場ではありません。しかし高齢者は、高血圧や糖尿病などの慢性的な疾患を抱えている方が多く、身体的な機能が低下し抵抗力も落ちていますから、転倒するとすぐに骨折し、風邪やインフルエンザ等の感染症にかかりやすく、その症状は重度化しやすいなど、医療ニーズは、特別な場合のサービスではなく、日常的なサービスの一つです。

 ですから、高齢者にとってホーム内の看護サービスや、医療機関との提携は、有料老人ホーム選びには、非常に重要な要素です。そのため、ほとんどの有料老人ホームでは、病院との提携(この病院を協力病院と言います)を大きくアピールされていますが、有料老人ホーム入居者に対する調査では、医療機関との連携に対する不満が大きいという結果がでています。それは、実際の提携や連携のメリットが目に見えず、入居者からすれば医療機関が限定されているだけで、有料老人ホームから離れた場所にあるなど、非常に使いづらいというところが多いからです。

特に要介護高齢者を対象とした有料老人ホームの選定にあたっては、協力病院の質や、実際にどのような連携がなされているのかをしっかりチェックする必要があります。

まず、協力病院ですが、内科や外科などの基本的な診療科目の他に、泌尿器科、整形外科等も高齢者の疾病とは関係が深いですし、眼科や歯科なども重要です。協力医療機関にどの程度の診療科目があるのか、特に現在何かの慢性疾患にかかっておられる場合は、通院時の介助とも大きく関係しますから、注意して確認することが必要です。

実際に、協力病院とどのような連携を行っているのかということも重要です。入院した場合にも、入居者や家族の立場に立って、その病状確認や退院に向けての調整なども行っている有料老人ホームもありますが、一方で、入院者は病院に任せきりで実質的な連携は何もないというホームもあります。例えば、入居者が入院されている間も有料老人ホームの住居費用や管理費等は必要になりますが、特に末期のガンなどの場合は、入院時から有料老人ホームに戻る可能性はないと言うケースも多くあり、連携が取れていない場合は、意味なく入院費と有料老人ホーム費用をどちらも支払うことになります。逆に、連携がしっかり取れていれば、退院の可能性を考えながら、身体状況の変化に対応して事前に要介護度の変更やケアプラン(介護計画)を検討し、受け入れ態勢を整えることが可能です。協力病院と提携しているから安心だとは言えず、どのような連携を取っているかという、その内容が大切なのです。

また、有料老人ホーム内部で、どの程度の看護サービスが提供されているのか確認することも重要です。体温や心拍数、血圧を測ったり(これをバイタルチェックと言います)、お薬を管理したり配ったりするのは、看護師でないとできませんから、有料老人ホームで働く看護師の数を知ることや、健康管理や通院の介助などがどのようにされているのか、費用はかかるのか等も確認することも必要です。

医療サービスは医療機関で行うものですが、きめ細かな対応がなされるかどうかによって、安心度や有料老人ホームでの生活も大きく変わってきます。この医療サービスや医療との連携は、有料老人ホーム選びの中で非常に重要なのです。


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退去要件をチェック

有料老人ホームに入居される入居者や、その家族は、そのホームを『終の棲家』として考えておられ、特に要介護高齢者を対象とした有料老人ホームは、その傾向が強いようです。ですから、ほとんどの有料老人ホームではその入居説明にあたっては、『終身介護』を謳っています。この『終身介護』ですが、家族とすれば一度入居すれば、入居者がお亡くなりになるまで、その有料老人ホームで生活ができると考えるのですが、実際はそうでないケースもたくさんあります。

 どのような場合に、有料老人ホームからの退居を求められるのか、また、退居についてどのような手続きがとられるのか、事前に確認しておくことが必要です。有料老人ホーム側からの契約解除、つまり強制的に退居させられる場合として、一般的には次のようなものが挙げられています。

1. 入居申込書に虚偽の事項を記載するなどの不正手段により入居したとき
2. 月額の利用料、その他の支払を正当な理由なく、しばしば滞納する時
3. 有料老人ホームで規定している禁止行為に該当する時
4. 入居者の行動が他の入居者の生命・生活に危害を及ぼす恐れがあり、かつ入居者に対する通常の介護方法では、これを防止することができないとき


1.や2.については、入居者・家族サイドの問題ですが、4.については、基本的には認知症(痴呆)の問題行動が発生した場合を想定しています。3.の禁止行為の内容については、管理規定にその詳細が示されていますが、『その他の類似行為』等で抽象的に定められているものも多く、入居者同士のトラブル等の場合、その運用方法によっては、一方的に不利な状態に置かれてしまうこともあります。

 このようなケースを避けるために、死亡以外で、実際の有料老人ホームサイドから退居を求めた人数や、入居者自ら退居した人の人数、またどのようなケースでそうなったのかを確認しておくことです。有料老人ホームとしてはあまり積極的に話をしたい問題ではありませんが、残念ながら実際に有料老人ホームの生活に適応できずに退居されるかたもおられますし、認知症による問題行動でやむをえず退居を求めなければならないケースもあります。しかし、その人数があまり多いようであれば、退居に発展するようなトラブルへの対応力が少ないと言わざるをえません。また逆に『終身介護ですから何があっても安心です』としか言わない有料老人ホームも、その重大性が理解されていないか、隠しているかのどちらかです。

 もう一点、退居について考えなければならないのは、長期入院への対応です。有料老人ホームによっては、1ヵ月や3ヶ月などの期間を定め、それ以上の入院については退居を促しているところもあります。しかし、入院した時点で、悪性腫瘍の末期である場合や、医療ニーズが高く退院することが不可能な場合はありますし、逆に骨折などの場合は、リハビリ等に少し時間がかかっても、退院することは可能な場合もあります。退院しても行く場所がないということでは、家族も入居者も困りますし、また入院するたびにホームに戻れないのではないかと不安になります。入院は病院の医師の判断に大きく左右されますが、期間で一方的に判断するのではなく、病院と連携し、個別に対応してもらえるかが重要です。

 『終の棲家』として考えて入った有料老人ホームを途中で退居させられたり、退居せざるを得なくなると言うことは、入居者ご本人にとっても、ご家族にとっても大きな負担になります。そうならないためにも、退居の要件は、実際の事例を交えながら確認することが必要です。


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経営体質・経営状態をチェック

 特別養護老人ホームなどの福祉施設と比較して、有料老人ホーム入居の最大のリスクは、有料老人ホームの倒産です。福祉施設の運営は、社会福祉法人や行政などの公益法人や公的機関に限られていますので、倒産や事業運営の継続が困難になるということはありません。しかし、有料老人ホームの経営は、その多くが民間企業ですから、入居者が集まらずに資金繰りが悪化し、倒産するホームもありますし、サービス内容が不十分でトラブルが発生し、事業の安定運営ができなくなる有料老人ホームもでてきています。

また、高齢社会への貢献や、これからの不可欠な事業としてサービス向上に真剣に取り組んでいる経営者がほとんどですが、一方で有料老人ホームや介護保険制度の制度の盲点をついて、『何とか金儲けをしよう』『サービスはどうでもいい』という悪徳な事業者が存在することも事実です。今後は行政への届け出や監査・指導も厳しく行われますから、将来的にこのような業者は駆逐されていきますが、残念ながら現在は、一部ですがそのような業者も存在しています。

 特に、自立高齢者から要介護高齢者を対象とした有料老人ホームが多くなっていますから、日常生活の中では、入居者が弱い立場に立たされることも多く、倒産したり、不透明なサービス運営が行われると、入居者が家族に多大な負担がかかることになります。そのようなことにならないように、経営状態や経営体質を確認することが必要です。

 最近では大手企業が有料老人ホームに参入しており、これも運営の安定度を測る一つの指標ですが、小さな個人の有料老人ホームでも、安定した経営を行っているところもたくさんあり、決算書や財務諸表等が開示されていればこれは大きな指標になります。この財務諸表の開示は将来的には義務付けられると思いますので、見学の際に、決算書等の経営指標が開示されているか確認されれば良いでしょう。また現在運営されている有料老人ホームであれば、どの程度入居者が生活されているのか(入居率)も重要なポイントです。全室でなくてもほとんどの居室に入居者がおられるのであれば、有料老人ホームにも活気がありますし、経営は安定していると考えてよいと思いますが、逆に多くの空き居室が見られるようだと、経営は厳しいと考えられます。有料老人ホームの規模や対象者によっても違いますが、近隣の有料老人ホームと比較し、確認されると良いでしょう。

この情報開示は、経営状態だけでなく経営体質を確認する上でも非常に重要です。これまでのトラブルやその有料老人ホームでは答えられないニーズについて、有料老人ホームにとっては都合の良くないことも、事例や数値をあげて説明しているところは信頼ができると思います。逆に、説明の多くを美辞麗句に頼り、『安心です・快適です』とせかした挙句、入居してみれば半分以上の部屋が空いているということになれば、その他のサービス内容も『押して知るべし』という結果になります。そのサービス内容を理解されていなければ、有料老人ホームにとっても入居後のトラブルの原因になりますから、自分達のサービスに自信があれば、しっかりと説明できるはずです。また、家族との懇談会や入居者のサービスの不満点などを話し合う場が、しっかり設定されているか、また、遠方で暮らす家族向けに老人ホームの生活についての『老人ホーム便り』が作られているのかも重要なポイントです。入居希望者だけでなく、現在の入居者にもしっかりと情報が提供されているとういうことは、サービス内容や経営内容に自信を持っているということです。

どの事業でもそうですが、有料老人ホームでは特に、施設長や経営者の理念や考え方が、必ず他のスタッフにも影響します。それは、老人ホームの全体の雰囲気、電話対応での話し方、介護スタッフ等の立ち振る舞いや話し方、説明者の説明の仕方など、あらゆる場面で見えてきます。ですから、できれば見学や面接において、経営理念等について施設長などの責任者ともお話をされるのが良いでしょう。 経営体質や経営状態は、有料老人ホームのサービス内容という面だけでなく、その有料老人ホームは、これからの生活を託すだけの信頼に値するのかという根幹に関わってきます。与えられた資料だけでなく、積極的に確認をおこなうと共に、見学やスタッフの態度、説明の仕方など、あらゆる機会において、しっかりチェックする必要があるのです。


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その他、費用をチェック

 有料老人ホームの入居にかかる費用については、入居一時金と月額の必要費用を中心に組み立てられており、月額費用は、家賃、介護費用(介護保険部分)、介護上乗せ費用、食費、管理費にわけられています。個々の内容については、それぞれに適正なものか注意することが必要ですが、月額の入居費用全般に関連して確認しておかなければならないことが3点あります。

その一つは、どのサービスまでが月額費用に含まれるか、つまり、月額の費用でどこまでのサービスが受けられるのか、どのような場合に追加の費用が発生するのかということです。

それは、健康型や介護付といった有料老人ホームの類型によっても大きく違います。例えば、健康型の場合は、介護サービスが基本的にはありませんので、洗濯や掃除、散歩の付き添いなどのサービスには、別途費用がかかることが多いですが、介護付有料老人ホームの場合は含まれています。また、介護付有料老人ホームでも、個別の買い物の付き添いや病院の付き添いなど、その内容によって別途費用となる場合もあります。 その他、通院や入院等の医療費、オムツなどの介護用品費等は自費負担となりますが、これは重要事項の説明書の中に細かに書かれていますので、入居される方のニーズや生活レベルに合わせて確認しておくことが必要です。

 二つ目は、入院時など有料老人ホームで生活していない場合に、減額される費用、減額されない費用についての確認です。

病院に入院している間は、有料老人ホームで生活していないのですから、公的な介護保険に係る一部負担は徴収されることはありませんが、管理費や食費、上乗せの介護費用などの取り扱いについては、有料老人ホーム毎に違います。実際にサービスの提供を受けていなくても、居室を引き続き管理・維持しているのですから、基本的には家賃や管理費は徴収されるようですし、その他、食費や上乗せの介護費用についても、一定期間以上の場合に一部減額するというところが多いようです。
ですから、実際には入院されると2重の支払が必要になります。これも契約ですから、後で『そんなはずではなかった』『資金計画の中に入っていなかった』ということのないようにしなければなりません。

 もう一点は、利用料の改定についてです。特別養護老人ホームなどの福祉施設では、利用料は介護保険法や運営基準によって定められており、報酬改正によって費用が改定されるのですが、有料老人ホームの場合は、介護保険サービス以外の支払が多く、ホームごとに価格が定められています。これについては、厚生労働省も『有料老人ホーム設置運営指導指針』の中で、その金額設定の根拠を明らかにすることとし、その改定にあたっては、その改定の根拠を入居者に説明することを求めています。しかし、実際の契約の中では、料金の改定の可能性に触れてはいても、改定の際に何を基準として改定するのか、改定や見直しの時期などを明示しているホームは少ないようです。当然、介護保険の制度の変化や、消費者物価指数の変化により、有料老人ホームの価格は見直されるのですが、その時期や根拠が明らかにされていないと、経営の失敗を値上げに転嫁されてしまうという可能性も出てきます。これもしっかり確認すべき事項です。


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食事・その他サービスをチェック

 生活を有意義に過ごすために、多くの有料老人ホームでは、高齢者の大きな楽しみの一つである食事に力を入れていますし、様々なレクレーションのサービスメニューを用意しています。サービス内容やメニューは有料老人ホームによっても違いますが、有料老人ホームで生活を送るにあたって基本となる食事サービス、入浴サービス、レクレーションについて、そのチェックポイントを挙げておきます。

 まず、食事ですが、元気な方でも介護が必要になっても高齢者にとって、食事は楽しみなものです。元気な高齢者を対象とした有料老人ホームでは、テナントとして入っているレストランとの個別契約というところもありますが、要介護高齢者を対象した有料老人ホームでは、基本的には朝・昼・夕と3食全てに食事がついています。

 多くの有料老人ホームでは、豪華な料理や美味しそうな料理の写真がパンフレットに載っていますし、『魚料理or肉料理』『パンorライス』『洋風or和風』など選択できるところもあるようです。しかし、事前に確認しなければならないことは、その内容だけでなく、どの程度まで個別のニーズに対応してもらえるかということです。

 例えば、『薄味が好き』『鶏肉は食べられない』『青魚は嫌い』という好みの問題や、要介護度が重くなると、身体的な能力が低下し、飲み込む力や噛む力が弱まってきますから、ご飯の堅さも、普通の堅さのご飯から、全粥、5分粥、3分粥にしたり、おかずも刻んだりペースト状にしたりと食べやすいように加工しなければなりません。また、アレルギーや糖尿病、腎臓病などの疾病による食事制限によって、カロリー制限や食事内容を変更してもらわなければならないこともあります。特に要介護高齢者にとっては、その好き嫌い以上に慢性疾患や身体状況に変化にどの程度まで対応できるかということが重要で、またそれに伴う費用がかかるのか、月額の食事費用内で対応してもらえるのかを確認しなければなりません。

 その他、基本的に食事は、食堂で食べることになりますが、自分の居室で食べることができるか、家族が来た時には一緒に食べられるスペースはあるか、家族用に食事は作ってもらえるのか等もチェックしておくと良いでしょう。

 次に入浴ですが、単に体をきれいにするというだけでなく、疲れやストレスを和らげるためにも、非常に大切です。健康型など元気な高齢者を対象とした有料老人ホームの場合は、温泉成分や、旅館のような大浴場が好まれているようですが、最近の要介護高齢者を対象としたものは、自宅で入浴するのと同じような個別の浴室が多いようです。この入浴については、毎日入浴が可能なのか、何時頃に入浴するのか、個別入浴なのか等をチェックする必要があります。要介護状態の場合は、入浴するためには介護スタッフの介助が必要ですから、基本的には週3回程度で、それ以上入浴したいという場合には、別途費用がかかる場合が多いようです。また、身体状況の低下した重度の要介護高齢者にとって入浴は、体に負担となりますから、事前に体温や血圧などの測定が行われるか、重度の要介護高齢者が安心して入浴できるような設備が整えられているか等についてもチェックが必要です。

 レクレーションは、将棋やカラオケなどの同じ趣味をもつ入居者同士が集まっておこなうクラブ活動的ものや、演奏会や花火大会などのイベント的なものに大きく分かれます。これは元気な高齢者を対象としているのか、要介護度の高い高齢者を対象としているかによって大きく違いますが、入居者同士の交流を深めたり、最近では老人ホームのホールを利用して、地域に開かれたイベントを行っているところも多いようです。レクレーションについては、入居される方の性格や嗜好とも大きく関係しますから、どれが良いというものではありませんが、単純になりがちな有料老人ホームでの生活に刺激や張りを与えるという重要な役割を持っています。別途の費用がかかるものもありますが、レクレーションが盛んな有料老人ホームは活気があります。実際の生活をイメージしながら検討すれば良いでしょう。


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建物・ハードをチェック

 有料老人ホームは、これまでは非常に豪華な建物が多かったのですが、最近では入居一時金を抑えるために、建設価格を抑えたものや、社宅や学生寮などから改築したものも多くなっています。有料老人ホームを見学すると、どうしてもその仕様や豪華さに目が奪われるのですが、その選定にあたっては、どのような建物が入居される方の生活に適しているのかという側面からチェックする必要があります。

立地環境
 まず、第一点目は立地環境です。これまで有料老人ホームと言うと、緑や自然が多い場所が選ばれており、結果的に交通のアクセスの悪いことが多かったのですが、ご家族が訪れにくいことや、入居者が閉じこもってしまう傾向にあるため、最近では、街中や交通の便利な場所のものの人気が高いようです。だからといって、幹線道路や高速道路が近くにあり、騒音や排気ガスが多いような場所では、高齢者の生活に適しているとは言えません。まず、その立地環境は、高齢者の生活の場として相応しいのか、有意義な生活を送ることができるのかを確認することが必要です。

居室・リビング等の配置
 有料老人ホームの居室等の配置と高齢者の生活、介護提供には大きな関係があります。有料老人ホームの配置を大きく分けると大きくは3つに分けることができます。

居室タイプ


 Aタイプは、ユニット型とも呼ばれるもので、食堂やリビングと各居室との位置が近いことから、居室から出やすく介護動線や生活動線が絡まないことから、最近の要介護高齢者を対象とした有料老人ホームでは多く取り入れられている形です。Bタイプは、リビングや食堂は同じフロアーにあるものの、一部の居室からは離れているものです。介護度が高くなるとリビングや食堂への行き返りが、少し大変になります。最後のCタイプは、特別養護老人ホームで多い形ですが、食堂やリビングが別フロアーとなり、エレベーターの移動となるため、重度要介護高齢者の方が多くなり、車椅子での移動が増えると、非常に介護動線や生活動線が混雑し、大変だと言われています。

 ただし、これはあくまで、要介護高齢者の『介護』という側面から見たものであり、入居者の状態や好み・プライバシーへの配慮など、考えなければならないポイントはたくさんあります。例えば、Aタイプの場合は、居室のドアを開けるとすぐにリビングですから、リビングから部屋の中が見えてしまいますし、リビングでの音が気になるかもしれません。

ですから、逆に元気な高齢者を対象としたものであれば、各居室が完全に独立しているようなCタイプが多くなります。入居者される方の希望や身体レベルに合った居室環境はどのようなものかを考える必要があります。

設備環境
 有料老人ホームの設備は、高齢者の生活に対応できるように、バリアフリーはもちろん、廊下幅等に配慮されているものがほとんどです。またリビングのテーブルやイスなどの備品にも配慮されているところが多いようです。その他、移動の際に重要となるエレベーターや避難設備、居室へのドアの使いやすさなど、実際に入居される方の状態(自立歩行・車椅子など)に合わせて、確認する必要があります。


居室内環境
 居室は、これまでの健康な高齢者を対象とした有料老人ホームは、マンションと同じようにトイレ、洗面台、キッチン、バス等、日常生活に必要なものは全て居室内に完備され、部屋も1DK、1LDLと比較的広いものが多かったのですが、最近の要介護高齢者対応のものは、居室内はトイレと洗面のみでワンルームタイプのものが多くなっています。これも入居者の身体状況や好みによって違いますから、どのような設備が居室内に必要なのかを考えながらチェックする必要があります。居室内の環境も要介護高齢者の生活に配慮してありますが、要介護高齢者といっても麻痺の部位やADL(日常生活動作)のレベルは違いますから、入居される方に合わせて選定することが重要です。

 基本的にはベッドでの生活になると思いますが、車椅子になった場合の十分な広さは確保されているかや、入居者が仏壇等を持ち込みたいと考えている場合は、そのスペースなども確認する必要があります。


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