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選択から入居までの流れ:平成19年からの高齢者住宅選び 重要ポイント

平成19年からの高齢者住宅選び 重要ポイント
有料老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅、高齢者マンションなど、高齢者住宅は多様化しています。また、医療・介護など様々な制度変更によって、その商品性・商品内容も大きく変わろうとしています。ここでは、これからの高齢者住宅選びおいて、注意しなければならない3つのポイントについて解説します。

商品として捉える・選ぶ

 有料老人ホームだけでなく、高齢者専用賃貸住宅・高齢者マンション等、様々な名称の高齢者住宅があります。『何が違うのかわからない』『どのように選べば良いのかわからない』というご意見が多数寄せられています。
 有料老人ホーム・高齢者専用賃貸住宅というのは、行政の定めた制度に則った名称なのですが、例えば『有料老人ホーム』と言っても、そのサービス・商品の内容はそれぞれ全く違います。これは高齢者マンション・高齢者専用賃貸住宅も同じです。




 高齢者住宅という商品を一言で言えば『高齢者専用 生活サポートサービス付住宅』ですが、これは、『住宅サービス』と『生活サポートサービス』の2つの大きく分かれます。
 まず、住宅サービス部分ですが、その立地・間取り・居室内の備品・共用部の設備など、自分にとって使い易いか、家族とのアクセス等を確認する必要があります。また、住居としての権利も重要です。高齢者住宅の居住者の権利は、所有権(分譲方式)、借家権(賃貸方式・終身賃貸方式)、利用権(利用権方式)に分かれますが、どの方式かによって、居住の安定性は大きく変わってきます。
 もう一つは、生活サポートサービスです。高齢者住宅には、食事・介護・看護・相談など、様々な生活サポートサービスが準備されています。ただし、これも高齢者住宅によって、その内容・手厚さ・価格はすべて違いますし、有料老人ホームの事業者が直接提供しているものだけでなく、テナントや外部の事業者が提供しているものもあります。特に、加齢によって介護が必要となったり、食事を作ることが難しくなりますので、『今欲しいサービス』だけでなく『将来必要となるサービス』も、準備されているのか、しっかりと確認することが必要です。
 今後も、様々な名称の高齢者住宅がでてくると思いますが、重要なことは、その名称ではなく『商品内容・サービス内容をしっかり比較して選ぶ』ということです。


重要な住居としての権利

 高齢者住宅を選ぶ場合、どうしても介護や食事などの『生活サポートサービス』を中心に選んでしまいがちですが、居住者としての権利も非常に重要な選択ポイントです。
 高齢者住宅の居住者の権利は、所有権(分譲方式)、借家権(賃貸方式・終身賃貸方式)、利用権(利用権方式)に分かれます。


分譲形式・・・・所有権
  一般のマンションと同様に居室の区分所有権を取得。
  所有者は、自由に『使用・処分・収益』ができ、資産として子供や配偶者に対する
  相続できる。家賃はかからないが、固定資産税や管理費が必要。
             ・・・・・高齢者マンション・シニアマンションなど

賃貸方式・・・・借家権
  一般の賃貸方式(借家権)に加え、契約期間を終身とする終身賃貸方式が
  制度化されている。借地借家法という強い法律に守られている。
             ・・・・・高齢者専用賃貸住宅、高優賃など 

利用権方式・・・・契約上の権利
  居室と共用部、共用設備を利用できる権利を購入する。
  家賃のように毎月支払うこともあるが、終身利用できる権利を入居一時金として
  購入するのが一般的。有料老人ホーム独自の方式。
  民法や法律上の権利ではなく、事業者との契約上の権利。


 この中で、最も強い権利は分譲形式の所有権です。自分のものですから、必要がなくなれば他の人に売ることができますし、他の人に貸して賃料を取ることもできます。最近はこの分譲形式の高齢者マンションが増えおり、資産として子供に相続することができるために人気も高いようです。ただし、高齢者マンションというだけで、他の一般のマンションよりも高額に価格設定されているものも多く、本当にそれだけの資産価値を持つのかをしっかり見極めることが必要になります。また、販売後は事業者から手を離れることになりますから、その後のトラブルやテナント事業者の倒産によって大きなダメージを受ける可能性もあります。どのような契約になっているのか、後日のトラブルはどのように対応してもらえるのか等、しっかりと確認することが必要です。
 二つ目は、賃貸方式による借家権です。これは一般の賃貸方式の借家権に加え、契約期間を終身とする終身賃貸方式(終身借家権)がありますが、実際には終身賃貸方式は、ほとんどありません。この借家権という権利は、民法の賃借権という権利の一つですが、借地借家法という強い権利で守られています。事業者(大家)の都合で一方的に退居を迫られることはありませんし、事業者が倒産し新しい大家さんに代わっても、退居を求められることもありません。高齢者専用賃貸住宅や高優賃(高齢者向け優良賃貸住宅)等が、賃貸方式で行われています。
 もう一つが、有料老人ホームに代表される利用権です。この利用権が所有権・借家権が基本的に違うことは、権利と言っても法律で定められた権利ではなく、契約でさだめられる権利だということです。ですから、利用権は一つのものではなく、各有料老人ホームでその権利の内容は違います。
 特に、問題となるのは事業者から退居を勧告されるケースです。利用権では、事業者から退居を求めることができるケースについて契約で定められています。『認知症等で他の入居者に危害を及ぼす恐れがある場合』『入院が三ヶ月以上となる場合』など、そのホームによって規定は違います。『終身と聞いて入居したのに退居を求められた』というトラブルも増えています。しっかりとその内容を確認する必要があります。
 このように、居住者の権利の強さに順序をつければ、『所有権』『借家権』、少し離れて『利用権』ということになります。ただ、逆に見れば、所有権や借家権の場合、認知症によるトラブルが発生し、他の入居者の生活に大きな影響がでるようになっても、解決が難しいという可能性もあります。それぞれの権利の強さ、メリット・デメリットや事業者の運営能力をしっかり検討し、高齢者住宅を選ぶ必要があります。


より重要になる医療ケアの充実度

 介護保険制度の発足によって、要介護高齢者を対象とした有料老人ホームや高齢者住宅が多く開設されました。重度要介護状態となっても手厚い介護サービスが受けられるように介護体制を強化したホームも増えています。『介護が必要となっても安心』というセールストークがどのホームでも聞かれますが、今後、高齢者住宅選びで重要になってくるのが医療ケアの充実度です。
 高齢者は骨折や脳梗塞等で入院した場合、若年層と比較すると直るのが遅いため、入院期間が長期にわたります。また、介護が必要な状態となるため、病気や怪我が治っても、自宅に戻れないというケースも少なくありませんでした。これを社会的入院と言いますが、介護施設が十分に整備されていなかったことから、長期入院を余儀なくされていたのです。
 しかし、介護施設不足の問題を医療に振り替えてきた結果、医療保険財政が悪化することになり、各市町村の国民健康保険や政府管掌保険は財政破綻の直前まで悪化しており、大企業が行っている健康保険組合も解散するところが増えているのです。
 この医療保険財政の悪化を食い止めるために『入院から在宅へ』が大きな流れとして進められています。入院は極力限定し、医師が常時管理しなければならない状態でなければ退院させ、訪問看護や訪問診療のサービスを受けて自宅で療養してもらうという形に変わっているのです。
 ご存知の方も多いと思いますが、医療ニーズの高い高齢者が入居している介護老人療養施設(療養病床)が2011年までに廃止されることが決まっていますし、また、普通の一般病床でも、入院患者の入院日数(平均在院日数と言います)を短くすることが求められています。
 この流れは、有料老人ホームや高齢者住宅の入居者の生活にも大きな影響を及ぼします。
 現在の有料老人ホームや高齢者住宅は、述べたように介護サービスを中心に介護システムが構築されています。看護や医療については『病院任せ』のところが多く、協力病院や提携病院と言っても、名前を借りている程度で、実質的な連携や提携内容が定められていないところも少なくありません。
 ですから、有料老人ホームに入居後、なんらかの原因で入院となった場合、病院からは退院を促進されているが、有料老人ホームでは十分な看護・医療ケアを受けられないため、退院を拒否されるというようなケースもでてくると考えられています。『入院から在宅』への流れの中で、有料老人ホームには介護だけでなく、医療ケアや看護をどのように受けられるのか、どの程度受けられるのかをしっかりチェックすることが、これまで以上に重要となっているのです。

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