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2024.05.08
相談員ブログ

W氏について

【W氏(わし)とは】
老人ホームに入居を申し込む際に、必ず提出を求められるのが診療情報提供書です。
その中に「感染症の有無」を検査する項目がありますが、「W氏」と記載されていることがあります。
W氏とはワッセルマン氏が確立した検査反応のことで、梅毒感染の血清診断なのです。別の記載方法として、「Wa-R」とも表記されていることがあります。
診療情報提供書には血液検査で「TPHA」と記載されていることもありますが、これも梅毒検査になります。
以前、梅毒は感染すると死に至る病気として恐れられていましたが、現代では早期発見と治療により、完治が難しくない病気になっています。
梅毒は合併症を発症して、脳に障害を与え、認知症のような症状が出ることもあります。
そのため、認知症と思っていたら、神経梅毒だったということがあるのです。
神経梅毒の場合は、適切な治療を受ければ認知機能の回復の可能性があります。

【感染経路】
梅毒は梅毒トレポネーマという病原体が粘膜や皮膚上の傷から、体内に侵入して血流に乗って全身に広がります。
多くの場合、保菌者との性交渉で感染しますが、薬物注射器の使いまわしや、母子感染なども原因となります。ただし、最近では妊婦検診が行われているため、新生児に感染することはほとんどなくなりました。

【感染後の症状】
症状が現れないこともありますが、治療しないでいると病気は進行します。
・第1期
感染後約3週間で、感染した部位に、できもの、しこり、ただれ、潰瘍、リンパの腫れなどが発生します。しかし、これらの症状は2~3週間で消失するため、梅毒と気づかない人も多いのです。
・第2期
第1期の症状が消えた後に、1~3か月経つと、病原菌が体内にまわり、手のひらや足の裏など全身に発疹や桃色の斑点などが現れます。治療しなくとも、数週間~数か月で症状は治まります。
しかし、自然に治癒したわけではないので、これらの症状が現れたら治療が必要です。
・潜伏梅毒
症状が無いまま何年も経過することがありますが、皮膚や内臓では病気は着々と進行しています。
・後期梅毒
数年~数10年後に、心臓、血管、神経、脊髄、目などに重い症状が現れます。

【老人ホームでの対応】
梅毒は日常的な接触では感染しませんしないのですが、極めてまれなケースで食器の共有などで感染した事例もありますので、注意は必要です。
主に性交渉で感染するため、保菌者がそのような行為をしてしまった際には、相手が感染していないか確認する必要性があります。
確認は性交渉を行ってから3週間後に採血で検査を行います。
協力医療機関及び市町村でも梅毒検査は実施されているので、感染の可能性がある場合は、しっかり検査を受けることが大切です。
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