厚生労働省は医療制度改革の試案を発表し、12月上旬までに改革大綱が策定される予定になっていますが、その中で、医療保険適応の療養病床においては、介護保険適応の療養病床と同様に、食費・居住費の一部を保険適応外の自己負担とする方針が、出されました。
概要は以下の通りです。
@ 療養病床に長期入院する70歳以上の高齢者の食費・居住費の一部を保険適用外の
自己負担とする
A 12月上旬に策定する医療制度改革に関する大綱に盛り込み、2006年の通常
国会に関連法案を提出して同年10月からの実施を目指す
B 食費と保険一割負担に加え、調理費の2万2000円と光熱・水道費の1万円が
上積みされ、自己負担が9万6000円程度に増えると試算
C 低所得者には、自己負担の一部免除などの救済措置
この内容だけでは、よくわからない方も多いと思うので、この療養病床の現行の制度を少し整理すると、療養病床には介護保険対象の療養病床(以下 介護療養病床)と、医療保険対象の療養病床(以下 医療療養病床)があります。介護療養病床については、介護保険法の改定で、この10月から食費や光熱費等のホテルコストは、自己負担となっていますので、自己負担が大きく違い、現場からは不公平だと言われていますので、この改定は当初から予想されていたものです。
長期入院とホテルコストの問題はこれまでも議論されており、医療療養病床でも6ヶ月以上の入院については、ホテルコスト見合として入院基本料の15%は自己負担(特定療養費)となっているのですが、次回の改定で、入院時からホテルコストが徴収さますから、医療療養病床の特定療養費については廃止される可能性が高いと思います。
今回、厚生労働省では、この改定によって、自己負担が3万2000円上乗せされ、9万6000円程度になると試算していますが、これは医療機関によって大きく違っています。特別養護老人ホームは福祉施設ですから、その他費用の徴収内容は大きく規制・制限されていますが、病院では、おむつ代や居室代、個別のテレビ代、洗濯代などなど、その他たくさんの別途費用が徴収されています。ですから、恐らく4床以上の多床室でも、自己負担は平均15万円以上になるのではないかと思います。
そもそも、この医療療養病床と介護療養病床は、医療が重点か介護が重点かによって分けられ、介護療養病床は要介護認定で要介護状態であると認定されていないと利用できないという違いがあるのですが、実際の入院者にはほとんど違いはありませんし、多くの病院では、この医療療養病床と介護療養病床を併設しています。
また、療養病床といっても、医師の常時の医療監視が必要な方ばかりではなく、特別養護老人ホームでも対応できる人は多いようですから、個室の特別養護老人ホームが13万円程度であることや、特別養護老人ホーム入居中に医療ニーズが高くなり、退居を迫られ行き場がなくなる高齢者が多いことを考えると、実際は、要医療度や介護度で分類されているわけではなく、現場が混乱していることがよくわかります。
その上、今後は医療法人にも老人ホーム事業が解禁になりますから、一般病棟との併設や訪問診療の充実等、医療ニーズの高い高齢者に対応した有料老人ホームも増えてくることが考えられ、多床室で高額な自己負担の療養病床は、その社会的役割は小さくなっていきます。
医療制度改定や他の法改正を見ていても、医療給付費削減、社会保障費削減のみが大きくクローズアップされていますが、同時に制度全体を整理・統合し、入居者の住み分けや、制度の狭間にある高齢者への視点が必要になります。今後は、介護療養病床と医療療養病床の統合、入院対象基準の明確化、療養病床数の減少等が、大きな流れになっていくと考えられます。
2005年11月14日 11:06
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